医療法人社団 めぐみ会

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ドクターズコラム

2009年6月 1日

甲状腺の病気について

「首がはれている」「動悸・倦怠感・イライラ感・不眠などがあり何となく調子が悪い」などと感じてはいるけど、「気のせい」とか「更年期だから」と思って、我慢していませんか? 

甲状腺の病気は20代~40代の女性に多く、20人に1人は何かしら甲状腺に異常があると言われています。色々な症状が出るので、初めは更年期障害や精神科の病気、胃腸や循環器系の病気だと思って治療をしていたら、実は甲状腺が原因だったということも多いのです。 

甲状腺は、喉仏の下にあり、普段は触ってもその存在はわかりません。大きさは幅4cm、厚さ1cm、重さ15g位で蝶が羽を広げたような形をしています。この小さな臓器から、発育や成長・新陳代謝などに不可欠な甲状腺ホルモンが分泌され、その甲状腺ホルモンの量は、脳にある脳下垂体から出る甲状腺刺激ホルモンによって調整されています。 

甲状腺の病気には、甲状腺の働き(甲状腺機能)の異常によるもの、甲状腺に腫瘍(しこり)ができるもの、あるいは両方が同時に起こるものがあります。 

甲状腺の働きの異常には、甲状腺ホルモンが大量に分泌される「甲状腺機能亢進症」(多くはバセドウ病)と甲状腺ホルモンの分泌が低下する「甲状腺機能低下症」(多くは橋本病)があります。原因ははっきりしませんが、自分自身の体を攻撃目標とする自己抗体を作ってしまう「自己免疫疾患」の一種と考えられています。首のはれ、動悸、手足のふるえ、発汗、食欲があるのに体重が減る、イライラ感、眼球突出、下痢、疲れやすい、全身がむくむ、物忘れがひどい、無気力、寒がり、脱毛、生理不順、不眠などの症状が出ます。また、甲状腺の腫瘍には、甲状腺全体がはれる「びまん性甲状腺腫」と、甲状腺が部分的にしこりのようにはれる「結節性甲状腺腫」があります。 

甲状腺の病気が疑われたら、採血(甲状腺ホルモン、抗体など)と超音波検査を行います。これらの検査でほぼ診断がつきますが、甲状腺腫瘍の場合は良性と悪性を区別するために細胞診検査が必要になることがあります。診断がつけば、適切な治療を行うことによって症状は良くなります。

何か思い当たる症状がある方は、一度甲状腺の検査をおすすめします。

呼吸器内科:長束 美貴

担当クリニック:田村クリニック

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