2009年9月 1日
誰でも病気にはなりたくありませんが、癌、心筋梗塞、脳卒中は特にそう思われている病気です。それもそのはず、いずれも我が国の死亡原因の上位を占めている疾患だからです。その中で、心筋梗塞と脳卒中はともに血管の病気であり、動脈硬化が大きく関わっています。
それでは動脈硬化を予防するためにはどんなことをすれば良いのでしょうか。動脈硬化はすでに20歳前から始まっており、年齢と共に進行します。その進行に拍車をかけるのがリスクファクター(危険因子)と呼ばれるもので、高血圧、脂質異常 (高脂血症)、糖尿病、喫煙、遺伝(体質)などが挙げられます。禁煙することで解決できる喫煙を除き、治すことがなかなか難しい病気で、食事のコントロールや運動といった生活習慣の改善と、大抵は薬剤を用いて適正な状態にコントロールすることが必要です。しかしここで注意が必要なのは、これらの薬は病気を治しているのではなく、コントロールしているだけだという点です。ここに列挙した病気は自覚症状に乏しいため、自己判断あるいは煩わしさから薬の服用を止めてしまう方も少なくありませんが、そうした場合数値が悪化して動脈硬化の予防という視点から見ると大きく後退してしまうことになります。
最近よく耳にするメタボリックシンドローム(通称メタボ)ですが、これは腹部肥満がベースにあり、さらに高血圧、高血糖、脂質異常の3項目のうち2項目を合併した場合を言います。1つ1つがたとえ軽症であっても、いくつものリスクファクターを併せ持つことにより心筋梗塞にかかる危険性が大きく上昇することが知られています。我が国ではメタボの人の数は将来さらに増加することが予想されます。
今日ここで述べてきたリスクファクターはそれ自体が大きな病気になりかねませんが、病気としっかり向き合うことで元気に暮らしている人もたくさんいます。心筋梗塞や脳卒中にならないために、また残念ながらなってしまった人は再発しないように、今からでも遅くはありません。リスクファクターをうまくコントロールして、元気に暮らしたいものです。
担当クリニック:田村クリニック、南大沢メディカルプラザ