2009年07月01日
私が担当している腎臓というのは、血圧調節にも大きな役割を果たしています。そこで今回は、血圧について基本的なところをお話ししたいと思います。
まず、血管の中を流れる血液が血管の壁を内側から押す力が「血圧」です。血圧には収縮期血圧と拡張期血圧の2種類があり、心臓が収縮して血液を送り出し、血管に圧力がかかった時を収縮期血圧 (いわゆる「上の血圧」)、逆に血液を送り出した心臓が拡張して血液を吸い込む時の血圧を拡張期血圧(いわゆる「下の血圧」)と言います。心臓は一日に10万回くらい収縮と拡張を繰り返していますから、血圧も10万通りの組み合わせがあるわけで、血圧を測定すると1回目と2回目で違うのはそのためです。
それではどの位の血圧を高血圧と呼んでいるのでしょうか? 2009年版の高血圧治療ガイドラインによりますと、診察室で測定した血圧では、140/90mmHg(上の血圧140mmHg、下の血圧90mmHg)以上を高血圧としていますが、家庭で測られる場合は、135/85mmHg 以上を高血圧としています。診察室の方が高めに出ることを考慮しているのですね。この家庭血圧が非常に重要で、血圧が気になる方はぜひご家庭で血圧を測定してみてください。
では、血圧をいくつにコントロールすればよいのでしょうか? 実は血圧をどこまで下げるかの目標血圧は人によって違います。どういうことかと言いますと、例えば年齢では、65歳以上の方は診察室血圧を 140/90mmHg 未満にすることが目標ですが、65歳未満の方は 130/85mmHg 未満を目標としているのです。また糖尿病のある方、腎臓の悪い方、心筋梗塞を起こされた方は診察室血圧を130/80mmHg 未満にすることが目標とされています。目標血圧は高血圧でなければいいよ、というレベルではなく、人によっては、もっと低い所に設定されているのです。
血圧に関してあまり神経質になるのはよくありませんが、放置されるのもよくありません。医師は健康管理が仕事ですから、あまり悩まずにご相談されたらよいかと思います。皆さんの健康管理について一緒に考えていけたらと願っております。