2017年10月17日
甲状腺の病気は20 代~ 40 代の女性に多く、20 人に1 人は何かしら甲状腺に異常があると言われています。色々な症状が出るので、はじめは更年期障害や精神科の病気、胃腸や循環器系の病気だと思って治療をしていたら、実は甲状腺が原因だったということも多いのです。
甲状腺は、喉仏の下にありますが、通常は触ってもその存在はわかりません。大きさは幅4cm、厚さ1cm、重さ15g 程度で蝶が羽を広げたような形をしています。この小さな臓器から発育や成長・新陳代謝等に不可欠な甲状腺ホルモンが分泌され、その甲状腺ホルモンの量は脳下垂体から出る甲状腺刺激ホルモンによって調節されています。
甲状腺の病気には、甲状腺の働き(甲状腺機能)の異常によるもの、甲状腺に腫瘍(しこり)が出来るもの、あるいは両者が同時に起こるものがあります。
甲状腺の働きの異常には、甲状腺ホルモンが大量に分泌される「甲状腺機能亢進症」( 主にバセドウ病) と甲状腺ホルモン分泌が低下する「甲状腺機能低下症」( 主 に橋本病) があります。原因ははっきりしませんが、自分の体を敵とみなして攻撃する自己抗体を作ってしまう「自己免疫性疾患」の一種と考えられています。
症状としては、首のはれ、動悸、手足のふるえ、汗が多い、食欲があるのに体重が減る、イライラ感、眼球突出、下痢、疲れやすい、全身がむくむ、もの忘れが ひどい、無気力、寒がり、脱毛、生理不順、不眠等がみられます。
また、甲状腺の腫瘍には、甲状腺全体がはれる「びまん性甲状腺腫」と、甲状腺 の一部分がしこりのようにはれる「結節性甲状腺腫」や「甲状腺がん」などがあります。
甲状腺の病気が疑われたら、採血(甲状腺ホルモン、自己抗体等)と超音波検査を行います。これらの検査でほぼ診断がつきますが、甲状腺腫瘍の場合は、良性と悪性を区別するために細胞診検査が必要になることがあります。診断が確定すれば、適切な治療を行うことによって症状は改善します。
首がはれている、動悸や倦怠感など、何か思い当たる症状がある方は、一度 ご相談ください。
2017/10/17 更新