2017年9月 7日
乳がんは年々増え続けていて、今では12 人に1 人が乳がんにかかり、年間約 13000 人が乳がんで死亡しています。女性の壮年層(30 歳~ 64 歳)のがん死亡原因のトップであり、社会の中心世代である40代後半から50 代前半に発症のピークがあるため、社会的な影響も大きいのです。最近では、20~ 30 代の乳癌も増えてきており、特に授乳期は発見が遅れることもあり注意が必要です。
近頃、有名人が乳がんであることを公表したり、マスコミで乳がんを取り上げる機会が増えたので、皆さんも関心は持っていると思いますが、実際に乳がん検診を受ける人はまだまだ少なく、欧米諸国では対象人口の7 ~ 8 割の人が検診を受けているのに対して、日本では3 割くらいの人しか受けていないのが現状です。
現在、自治体の集団検診としては、40 歳以上を対象に、2 年に1 度、マンモグラフィーによる検診が行われています。マンモグラフィーは、乳房を板で圧迫してレントゲンを撮るので痛みを伴うこともありますが、しこりとして触わることのできない早期の乳がんや石灰化の発見に有用な検査です。ただし、画像診断には限界があり、描出できない癌もあることを理解して頂き、検診で「異常なし」という結果でも、絶対安心という事ではないので、自分で異常を感じ たら医療機関を受診するようにしてください。
40 歳未満の人は、自発的に検診を受けることが大切で、まず行う検査としては超音波検査をお勧めします。超音波検査は、数mm の小さなしこりも発見できる精度の高い検査で、人体に無害なので妊娠中の方でも検査ができます。痛みもなく簡便に行え、乳腺の量の多い人や若い人に向いているとされています。
「私は乳がんにならない」「がん家系じゃないから大丈夫」「若いから大丈夫」など、他人事のように思っている人も多いのではないでしょうか? 「今まで調べたことがない」、「何となく気になって心配」、「家族・親戚に乳がんの人がいる」という方は、自分の現状を知る良い機会になると思いますので、ぜひ乳がん検診を受けてみてください。
2017.9.7
担当クリニック:田村クリニック