医療法人社団 めぐみ会

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ドクターズコラム

2008年5月 1日

メタボリック症候群について その6 「血管合併症」

前回まで、内臓脂肪→インスリン抵抗性→生活習慣病という流れについてご説明してきました。今回はメタボリック症候群の最終的な合併症、血管病変についてご説明します。 

血管合併症は大きく分けて、動脈硬化による病気と糖尿病合併症としての微小血管障害があります。動脈硬化性疾患には、まず虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)が挙げられます。心臓の血管(冠状動脈といいます)に起こる動脈硬化によって血液の流れが悪くなり、運動など心臓に負担がかかった場合に胸が苦しくなります。これが狭心症です。動脈硬化が起こった血管に血の塊(血栓)ができると血液がまったく流れなくなり、心臓の細胞が死んでしまいます。これが心筋梗塞です。狭心症や心筋梗塞は、突然胸の痛みを伴って起こる場合が多いのですが、中には症状を伴わずにいつの間にか血管が詰まってしまう無痛性心筋虚血もあります。 

次に脳卒中ですが、これは心筋梗塞と同じく、血管が詰まることによって起こる脳梗塞と、血管の一部にできた動脈瘤が破裂して起こる脳出血があります。いずれも突然の意識障害、麻痺、けいれんなどの症状が突然に現れます。その他にも閉塞性動脈硬化症といって、足の血液の流れが悪くなり、歩行時の痛みやしびれを引き起こす病気もあり、これは悪化すると足を切断しなければならないこともあります。 

糖尿病による微小血管障害は、以前にご説明した腎症、網膜症、神経障害のことで、悪化すると著しく日常生活で支障を来すことになります。 

以上のような血管合併症の特徴として、悪化するまで症状が出にくいこと、そして一度悪化した場合に元の正常な状態に戻すのが困難であることが挙げられます。したがって、予防に努めることが重要であり、原因となるメタボリック症候群、生活習慣病を早期に見つけ出すことが大切です。生活習慣を改善し、必要に応じて薬による治療を併用することで、合併症を予防できます。どんな病気でも早期発見・早期治療が重要であることは言うまでもありません。健康維持のためには定期的な体のチェックをしましょう。

循環器内科:黒田 雄三

担当クリニック:田村クリニック

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