医療法人社団 めぐみ会

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ドクターズコラム

2007年12月 1日

メタボリック症候群について その1 「メタボリック症候群と動脈硬化」

脳卒中と心筋梗塞はいずれも動脈硬化を原因として起こる病気で、成人の死亡原因の2位と3位を占めています。動脈硬化は長い年月をかけてゆっくりと進行していきますが、この過程では何も自覚症状はありません。ある時、突然、動脈硬化の進行した血管がつまる、あるいは破裂して出血する、という具合に何の前兆も無く発症するのが脳卒中や心筋梗塞の特徴です。 

したがって、動脈硬化の進行を予防することが大切で、そのためには「動脈硬化の危険因子」をコントロールする必要があります。代表的な危険因子としてタバコ、肥満、ストレス、高血圧、糖尿病、高脂血症などが挙げられます。この中で肥満・高血圧・糖尿病・高脂血症はしばしば重複して認められます。以前は偶然いくつかの危険因子が重なっているだけ、と解釈されていましたが、これらの重複した危険因子を持つ方には、その背景に「インスリン抵抗性」という共通の原因が潜んでいることが分かってきました。これを「メタボリック症候群」と呼ぶようになったのです。

インスリンは、人間の体内で肝臓や筋肉などに働きかけて糖や脂質の代謝調節を行う重要なホルモンの一つです。「インスリン抵抗性」とはインスリンが効きにくくなった状態を指します。過剰なカロリー摂取や運動不足から生じる「内臓肥満」がその原因です。「内臓肥満→インスリン抵抗性→生活習慣病(高血圧・糖尿病・高脂血症)」というように進行していき、動脈硬化のリスクを高めていきます。 

繰り返しますが、生活習慣病や動脈硬化は最終的な血管合併症である脳卒中や心筋梗塞を起こすまでは症状がありません。症状が無いということは、体が危険信号を発信してくれないということであり、自分自身で動脈硬化のリスクに気を配る必要があります。 

当健診センターでは、メタボリック症候群の評価に重点を置いたドックのコースを用意しています。また、メタボリック症候群や生活習慣病など、動脈硬化の危険因子を認める方には、隣接のフィットネスクラブと連携した運動指導、食事指導を行っています。是非、この機会に体の状態をチェックし、生活習慣を改善し、動脈硬化を予防しましょう。

循環器内科:黒田 雄三

担当クリニック:田村クリニック

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