2008年07月01日
腰痛でお悩みの方は大変多いと思います。実際、国民の1,000人中95人が、程度の差はありますが、腰痛を抱えているとの報告もあります。
体は脊椎(せきつい)と呼ばれる骨で支えられています。これがいわゆる背骨です。脊椎は上から7個の頸椎、12個の胸椎、5個の腰椎(腰の骨)、その下に骨盤につながる仙椎、さらに尾骨でできています。それぞれの脊椎の間にクッションの役目をする椎間板(ついかんばん)があります。脊椎は、体を横からみるとS字状に弯曲しており、腰椎では前弯(前方に向かって弓のように弯曲)しています。これを、前の腹筋と後ろの腰背筋と靭帯で支えているのです。腰椎は頸椎とともに動きの範囲が大きく、さらに上半身全体を支えなければならないので負担がかかりやすく痛みを生じやすいのです。?
腰痛は腰椎、椎間板、神経、靭帯、筋肉のいずれに不具合が起こっても発生し、複雑に関係していることが多くあります。具体的な疾患としては腰椎椎間板ヘルニア(日常よく耳にすることがあると思います。片方の下肢が痛くてしびれるといういわゆる坐骨神経痛症状を伴います)、腰部脊柱管狭窄症(神経の通り道が狭くなっている状態です。歩行により両足のしびれ、痛みがひどくなったり、時には足がもつれるような脱力感が出現します)、筋・筋膜性腰痛症(腰を支える筋肉や筋膜といういわゆる"すじ"のような組織の炎症によるものです)、腰椎椎間関節症(腰椎にも関節がありその部分の変形などにより生じます)、腰椎分離症・腰椎すべり症(組み合わさって分離すべり症となることがあります。脊椎が"ずれる"ことによって腰部脊柱管狭窄症と同様の症状が生じることもあります)、その他骨粗鬆症によるもの(骨の強度が弱くなって変形、ひいては脊椎がぺちゃんとつぶれるような形になる圧迫骨折を引き起こすことがあります)など様々で、時には内臓が原因のこともあります。
一概に"腰痛"といってもいろいろな病態があります。たかが腰痛、されど腰痛、腰は身体の要です。気になることがあれば一度整形外科でご相談されることをお勧めします。