2009年06月01日
前立腺癌は中高年の男性に多くみられる癌です。アメリカでは既に10年以上前から、男性の癌の中で罹患率(病気に罹る比率)が最も高く、死亡率では第2位になっています。日本でもライフスタイルの変化に伴い、近年急激に患者数が増えています。2020年には2000年の2.8倍になり、肺癌に続いて第2位の罹患率になると予想されています。前立腺癌は早期に発見し適切に治療すれば、完治も期待できる病気ですから、今後ますます早期発見が重要になってきます。特に前立腺癌のリスクの高まる50歳以上の男性や、家族に前立腺癌の人がいる男性は、定期的に検診を受けることが大切です。
前立腺とは、男性だけが持っている臓器で膀胱のすぐ下にあり、尿道を取り囲むように存在しています。精液の一部を作り、精子の運動機能を助ける働きをしています。この前立腺に出来る癌が前立腺癌です。前立腺癌の多くは比較的進行が緩やかですが、初期には特徴的な症状がないため、発見が遅れがちになります。
前立腺癌以外の前立腺の病気に前立腺肥大症があります。これは加齢のため前立腺が肥大し、尿道を圧迫し、排尿の勢いが弱くなったり、尿の回数が増えたり、夜トイレに起きるようになったり、尿の切れが悪くなったり、残尿感が出現する病気です。どちらも中高年の男性に多く、前立腺肥大症が前立腺癌になるわけではありませんが、自覚症状がよく似ています。そこで重要なのはPSA検査や直腸診、前立腺超音波検査などです。
前立腺癌を発見するための血液検査で、PSA値が高いほど前立腺癌が疑われます。PSAとは前立腺で産生されるたんぱく質で、健康な人の血液中にも存在します。したがって前立腺肥大症や前立腺炎、加齢でも上昇しますが、前立腺癌で特に高くなるため、前立腺癌の早期発見の指標として用いられています。
医師が肛門から指を入れ、直腸の壁越しに前立腺に触れて、その大きさや硬さから前立腺癌の可能性を探る検査です。PSAの上がらない前立腺癌もありますので重要な検査です。
これらの検査で前立腺癌が疑われる場合には、前立腺の組織検査(前立腺生検)が必要になってきます。いずれにしても、心当たりのある方は、泌尿器科を受診することをお勧め致します。