医療法人社団 めぐみ会

ドクターズコラム
Doctor's Columns

2009年05月01日

尿失禁 -おしっこが漏れる-

尿意のためトイレに間に合わず、漏れてしまう(切迫性尿失禁) 

トイレが我慢できないような強い尿意を尿意切迫感といい、そのためにトイレに間に合わず少し漏れてしまうことを切迫性尿失禁といいます。この状態は女性にも男性にも見られ、年齢と共に増加する傾向があります。この原因としては、トイレが近い状態を伴う過活動膀胱や、排尿に勢いがないという症状を伴ったりする前立腺肥大症や前立腺炎などがあげられますがはっきりしない場合も多いようです。検査としては、残尿測定で排尿後に尿が膀胱に残らないかどうかや、排尿の勢いをみる尿流測定、他の疾患がないか確認したり、前立腺の大きさをみるために超音波検査を行ったりします。治療としては膀胱の過敏な動きを抑える抗コリン剤というのが主に用いられます。しかし前立腺肥大症のある場合では、まず前立腺肥大症の治療を行うべきで、抗コリン剤は慎重に用いなければなりません。また、緑内障のある方では抗コリン剤の投与は注意すべきです。 

せきやくしゃみなど、お腹に力が入った時に漏れてしまう(腹圧性尿失禁) 

お腹に力が入った時尿が漏れ出てしまうことがある状態を腹圧性尿失禁といいます。これは女性に多く、出産や加齢のために膀胱や子宮を支えている筋肉(骨盤底筋群)が弱くなることが原因です。検査としては失禁の程度をみるためパッドテストを行います。その他残尿量をみる残尿測定や尿流測定、超音波検査などを行います。治療としては、骨盤底筋を鍛える骨盤底筋体操を行ってもらい、括約筋のしまりをよくするためのβ刺激剤などを投与します。これで改善しない場合や重症例では手術が必要になる場合があります。 

排尿後に少し尿がたれてしまう、尿の切れが悪い(排尿後滴下)

排尿後に少し尿がたれてしまい、下着を汚すことがあるような状態を排尿後滴下といいます。排尿後に残尿があったり、尿の勢いが悪いために起こったりします。男性では前立腺肥大症や前立腺炎の方に多いようです。男性の場合、尿道が屈曲しているため、残尿があまりなくても尿道の屈曲した部分にたまった少量の尿が排尿後にたれてしまうことがあります。残尿測定や尿流測定、超音波検査等を行い前立腺の状態をみてそれにあった治療を行います。 

状態に関係なく尿がたらたら漏れる(溢流性尿失禁)

様々な原因により膀胱の尿を排出する機能が低下したり、尿道の何らかの閉塞により、高度な尿の排出障害があるため、膀胱から尿を出し切れず、ダムから水があふれ出るように膀胱から尿があふれ出る状態をいいます。症状だけでは腹圧性尿失禁や切迫性尿失禁と間違える可能性もあり、様々な検査が必要です。治療も原因や状況に応じて様々ですが、放置しておくと腎臓の働きにも影響を与える可能性があり、注意が必要です。

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