2009年03月01日
尿路感染症は女性に多い
女性は男性に比べ、膀胱の位置が下にあります。そのため尿道が男性より短く、3~4cmしかありません。そのかわり尿道が太く、入り口が肛門に近い位置にあります。このように、女性は外からの細菌が侵入しやすい構造になっています。
原因菌の多くは大腸菌
普通は多少の細菌が侵入しても、繁殖する前に尿と一緒に排出されてしまいます。しかし、体調が悪かったり、冷えたり、尿を我慢しすぎたりした時に菌が増殖し、膀胱炎になるわけです。大腸菌は誰もが持っている菌で、腸内にいると病原性はありませんが、体の他の部分に入ると化膿性の炎症を起こします。
急性膀胱炎とは
排尿時や終わり頃に下腹部や尿道に痛みや違和感を感じます。また、排尿後もまだ尿が残っている感じがしたり (残尿感)、トイレが近くなったり (頻尿)、尿が濁ったりします。ひどい時は血が混じったり (血尿) します。このような症状があった時は、早めに泌尿器科を受診しましょう。
検査としては、まず尿検査を行い、尿の中に白血球や赤血球が正常より多く出ていないか検査します。この時点で膀胱炎と診断出来れば抗生物質を投与します。同時に尿の培養の検査を行い、どんな菌が原因か調べます。培養の検査結果が出るまでには5~7日間を要します。最近では大腸菌でも、膀胱炎によく使われる抗生物質に抵抗力を持つもの(耐性菌)が出現することがあり、最初に投与された抗生物質で症状が良くなっても、再度診療を受けて原因菌を確認し、尿が完全に良くなるまで診療を受けた方が良いと思います。膀胱炎は水分を沢山取り、どんどん排尿することで良くなることもありますが、完全に良くなっていないと結果的に繰り返すことになってしまうので、泌尿器科を受診してみると良いでしょう。
急性腎盂腎炎とは
膀胱炎を放置しておいたり、細菌の感染が強かったりすると、細菌が腎盂という部分にまで侵入し、腎臓全体に炎症を起こすようになります。前述の膀胱炎のような症状と共に、寒気がしたり、発熱することがあります。また腰背部が痛くなり (左右どちらかのことが多いが両側のこともある)、特に背中の部分を軽く叩くと響くように痛かったりします。発熱は、朝方おさまり、午後から夜にかけて上がる傾向があります。抗生物質も経口薬では不十分なことも多く、点滴が必要になります。さらに、尿検査の他に血液検査が必要になることがあります。血液検査で白血球数やCRPなどの炎症反応の程度を見て、炎症が強い時は入院治療が必要になります。
終わりに
細菌が原因ではない膀胱炎(間質性膀胱炎)や放射線や結核菌などによる慢性膀胱炎もありますので、思い当たる方は泌尿器科を受診してみましょう。