2007年08月30日
タバコは一度覚えると、なかなかやめられません。原因は、タバコに対する精神的・身体的依存と説明されます。実際、『禁煙講話』で熱弁をふるっても、休 憩時間に実に美味しそうにタバコをすっている聴講者を見かけます。タバコの煙には様々な発ガン物質、一酸化炭素、ホルムアルデヒド、ヒ素、青酸化合物など の有害物質が200種以上含まれ、喫煙が『時間をかけた自殺行為』と言われるゆえんであると伝えた直後さえもです。
実際、喫煙は、様々なガンや脳卒中、虚血性心疾患の他、禁煙増え続けているCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの発症と進展に関与しています。
そこで先進諸国では、国を挙げて禁煙キャンペーンを行って喫煙率を低下させ、これに伴いイギリス、スウェーデン、アメリカでは肺癌の死亡率が低下しまし た。日本は先進諸国の中でダントツの禁煙後進国であり、なお肺癌死が増えています。またWHO(世界保健機構)の試算では2020年にはCOPDが死亡原 因の第3位になるとしています。日本における死亡原因の上位に、虚血性心疾患、脳卒中、ガンが挙げられ、今後さらにCOPDが加わってくることから、特に 喫煙者は、これらの病状で命を早く落とす可能性を背負っているとも言えます。
また、タバコを吸わなくとも、過食・アルコール過飲・塩分過多・運動不足(便利な移動手段による)などは、高血圧・高脂血症・高尿酸血症・糖尿病・肥満を引き起こし、何れも血管障害を促進させることから、脳卒中・心筋梗塞等につながります。
科学・医学が発達して生活が豊かになり、寿命が延びている現代社会において、豊かさゆえに生じた病気と闘わなければならない私たち現代人。皆さんも、出来るだけ健康で長生きすることの意味を考えつつ、健康の維持増進に取り組んでいきましょう。
2007.9.27
呼吸器内科 車川 寿一