2017年5月12日
便通のトラブルは、便秘、下痢、便秘と下痢が交互に起こる、残便感、腹痛、腹部膨満感など様々です。原因で一番心配なのは大腸癌です。便潜血検査を受け、必要ならば大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。慢性下痢では、クローン病や潰瘍性大腸炎のような難病もあります。いずれも消化器専門医にご相談ください。
特別な原因のない慢性便秘では、規則正しい生活、線維の多い食事、便意がなくても朝トイレで排便を試みるなど、生活習慣の改善が重要です。下剤は最小限にして、大腸非刺激性下剤(酸化マグネシウムなど)をまず用い、不十分なときに大腸刺激性下剤を用います。少量の下剤でも腹痛下痢を起こしやすい方には漢方薬がおすすめです。こうした方は痙攣性便秘あるいは過敏性腸症候群便秘型のことが多く、腸の過剰な収縮を調整して適切な腸管運動を促す作用のある漢方薬が有効です。とくに芍薬(シャクヤク)という生薬を含む漢方薬がよく用いられます。また、開腹手術後などで腸管癒着症がある方で、便秘がちでガスが多くて腹がはるというときには、刺激性下剤ではうまく排便できないことがあります。この状態には整腸作用とともに腸壁の血行を改善して腸の中のガスの吸収を促す作用のある漢方薬を用います。
特別な原因のない慢性下痢は、過敏性腸症候群の下痢型や便秘下痢交代型が多いと思われます。こうした方には、整腸作用のある漢方薬を用いると改善することが多く、おすすめです。ただ、精神的ストレスが強い方や背景にうつ病がある方では心療内科などでの治療が必要な場合もあります。
通常の下剤や整腸剤でうまくいかない便通トラブルのある方は、ぜひ漢方薬を試してみてください。
2017.05.12
担当クリニック:田村クリニック2(旧:多摩ガーデンクリニック)